USBが普及する前に使われていたSCSI接続機器とは

USB普及前に使われたSCSI機器の一例ZIPドライブとPCカードの組み合わせ

現在ではUSB接続が当たり前となっていますが、1990年代から2000年代初頭にかけては、外付け機器の接続規格としてSCSI(スカジー)が広く利用されていました。特に大容量ストレージや業務向け周辺機器では定番とも言える存在で、当時のパソコン環境を語るうえで欠かせない規格です。

今回取り上げるのは、バッファロー(当時はメルコ)のZIP100ドライブと、IO-DATAのSCSI-PCカードです。どちらもUSB普及前の外付け機器環境を象徴する機材であり、とくにPCカードはノートPCでSCSI機器を扱うための代表的なパーツでした。

USB以前の定番だったSCSI接続機器

バッファローのZIP100ドライブとIO DATAのSCSI PCカード

SCSIは、外付けHDDやMOドライブ、スキャナ、CD-Rドライブなどで広く使われていた接続規格です。当時はUSB1.1の転送速度がまだ低速で、安定性や対応機器の豊富さでもSCSIが優位とされていました。

特にデータ保存用途では、SCSI接続の機器は信頼性が高い印象があり、業務用途やクリエイティブ用途でもよく採用されていました。現在のUSB接続感覚とは異なり、接続順序や終端設定など、扱いに独特の知識が必要だった点も特徴です。

バッファロー(旧メルコ)のZIP100ドライブ

SCSI接続のZIPドライブ本体

ZIPドライブは、Iomegaが展開していたリムーバブルメディア機器です。今回の機材は、メルコブランド時代の外付けZIP100ドライブで、100MBメディアを利用できるモデルになります。

当時の100MBは非常に大容量で、フロッピーディスクでは収まりきらない画像データやバックアップ用途に活用されていました。MOより手軽で、CD-Rより扱いやすい中間的な存在として人気がありました。

現在の感覚では100MBは小容量ですが、Windows95やWindows98時代では十分に実用的な容量です。特にデジタルカメラ画像や文書データ保管用途では、ZIPメディアを利用していた人も少なくありません。

外付け機器を支えたSCSI接続という規格

本体裏のインターフェイス

SCSIの特徴は、単純な周辺機器接続だけではなく、複数機器を数珠つなぎ接続できる点にもありました。HDD、MO、スキャナなどを同一ラインへ接続する構成も珍しくありません。

ただし、その反面でID設定やターミネータ設定が必要になるなど、初心者には少し難しい規格でもありました。接続不良や認識失敗が起きると、ケーブルだけでなく終端設定まで確認する必要があり現在のUSB環境とは大きく異なります。

PCカード用のSCSIケーブル

デスクトップ用と違いわりと細めなSCSIケーブル

また、SCSIケーブル自体も太く重厚で、現在の細いUSBケーブルとはまるで別物です。こうした独特の存在感も、当時のPC周辺機器らしい雰囲気を感じさせます。

IO-DATAのSCSI-PCカード

ノートPCに使うSCSI接続用PCカード

ノートPCでSCSI機器を利用する場合に活躍したのが、PCカード型のSCSIアダプタです。今回の写真にあるIO-DATA製PCSC-Fも、その代表的な製品のひとつでした。

機器側用のSCSIコネクタ

外部機器側に接続するコネクタ(多数の規格がある)

当時のノートPCにはPCカードスロットが標準搭載されており、LANカードやモデムカードと並び、SCSIカードもよく利用されていました。これを装着することで、外付けZIPドライブやMOドライブを接続できるようになります。

PCカード側のコネクタ

PCカードに接続するコネクタの形状

現在ではPCカードスロット自体を見かけなくなりましたが、当時はノートPC拡張の中心的存在でした。USBがまだ万能ではなかった時代ならではの拡張方法と言えます。

PCカード経由でSCSI機器を接続していた時代

IDを設定するダイヤル

現在のUSB接続であれば、ケーブルを差し込むだけで認識する場面がほとんどです。しかしSCSI時代は、OS対応、ドライバ、終端設定、接続順序など、多くの条件が関係していました。

そのため、単に機器を所有しているだけでは動作しない場合もあり、当時の環境知識が重要でした。逆に言えば、こうした接続経験そのものが、当時のPCユーザー文化でもあったと言えます。

今回のようなZIP100ドライブやSCSI-PCカードは、USB普及前のパソコン環境を象徴する機材です。現在ではレトロ機材扱いになっていますが、古いデータ救出や当時の環境検証では、今なお価値を持つ存在でもあります。

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